プラズマイオン照射法合成の原子・分子内包カーボンナノチューブの電気特性

 

1991年にNECの飯島氏 (現:名城大学) によって発見されたカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube, CNT)は,炭素原子のみから構成された直径数nm,長さ数mの筒状の物質で,きわめて特異な性質を有しており,発見以来関心を集めてきた.CNTはグラフェンシートが円筒状に巻かれた構造をしており,内部に真空の中空部を有している.

さて,シリコンベースのトランジスタはこれ以上の微細化が困難になると言われており,CNTを利用した電子デバイスに期待が持たれている.本来純粋な半導体単層カーボンナノチューブ(SWNT)はp型であるが,SWNT内部に原子・分子種を内包させる事によってその部分のバンドギャップが変化する.従って,n型の半導体SWNTを作り出す事が可能となる.さらに1本のナノチューブに電子ドナーまたは電子アクセプタ性の分子・原子を選択的に導入すれば,1本のSWNT内によってナノスケールの電子デバイスを創製できる可能性がある.

本研究の目的は,プラズマ理工学的手法を用いてイオンをSWNTに照射する事によって原子または分子が内包されたCNTによってField Effect TransistorFET)を作製し,内包された事に起因する電子輸送特性の変化の詳細を調査する事である.

3Cs@SWNT-FETIDS-VG特性.

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



泉田