強磁性金属を内包した単層カーボンナノチューブの合成及び特性評価
カーボンナノチューブは独特の化学的・物理学的・機械的特性を有しているため,様々な産業応用が考えられている.その中でも特に興味深いアイデアとして,カーボンナノチューブの内部に伝導物質などを内包させることにより新しいナノサイズの電子素子を創製するというものがあり,微細加工の限界に近付きつつある半導体集積回路に取って代わるナノサイズの新機能性材料として実用化に向けた研究が盛んに行われている.さらに,ナノチューブの内部に内包させる物質として強磁性金属を用いると,情報伝達のキャリヤーとして電荷のみならず電子スピン特性(磁性)の利用が可能になることが示唆されており,従ってナノチューブは将来のナノスピントロニクス素子を実現化させる候補にも挙げられている.
当研究室では,鉄やニッケルなどの強磁性金属元素を単層カーボンナノチューブの内部に内包させる独自の理化学的手法を開発し,実際にナノスピントロニクス素子の合成及び,その物理的特性の評価を行っている.
図1:強磁性金属内包単層カーボンナノチューブの合成.
李 永峰