反応性プラズマによる新規球殻構造ナノシリコン物質の創製

 

 

シリコン(Si)は地殻で酸素に次いで豊富に存在するだけでなく、私達の生活の中で半導体などに多く用いられている必要不可欠な物質である。半導体デバイスなどで高集積化が進む中、三次元的な構造をとる炭素同素体のフラーレン(C60)のような球殻構造のナノスケールシリコン物質を用いたデバイス・材料の開発が望まれている。

近年の報告からSiのみで構成された球殻状物質は不安定な状態であるが、Siケージ内に異種金属を導入させた金属内包Siフラーレンは安定状態であることがわかっている(1)。しかしながら、Siフラーレン合成には未知の部分が多く、大量合成に向けた形成方法の確立が重要であると考えられる。

そこで本研究室では、プラズマの制御性と大量合成の点で有用な反応性プラズマを生成し、Siクラスター形成を試みることで、最終的な目標であるSiフラーレンの合成の可能性を探っている。

Si供給源として電子銃を利用し、さらに補助ガスを導入してRFアンテナによる誘導結合プラズマ(ICP)で反応性プラズマを生成している(2)。基板に堆積した物質をレーザ脱離飛行時間型質量分析器(LD-TOF MS)を用いて質量分析を行った結果、シリコンクラスターSin

(n < 20程度)が形成されていることが確認された。今後は金属をプラズマ内に導入し、金属内包Siフラーレンの形成を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 



高谷 広徳